ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

七月大歌舞伎 牡丹燈籠

先日、七月大歌舞伎の夜の部『通し狂言 牡丹燈籠』を見に行ってきました。

中車さんと玉三郎さん演じる夫婦の欲によってあの世に引き込まれる怪談話。
有名な落語です。
演出を玉三郎さん自身が手掛けます。

【名プロデューサー坂東玉三郎
中車さんの魅力がすごい詰まった演目でした。
やっぱり中車さんの一番のハンディキャップは年齢を重ねての歌舞伎途中参加ってとこなんですよね。
生まれついての体に染み込んだ型があるわけじゃないので、やっぱり力が入り込み過ぎているというのが今まで気になっていたところではあるんですが、今回はすっごく良い。
話やキャラクターがちょうど良い具合に抜けているというのもあると思うんですが、なにより玉三郎さんとのバランスがいい。
玉三郎さんののらりくらりかわす奥さんだからこそのあの中車さんの伴蔵に落ち着けたんじゃないかと思います。
お客さんを驚かせ楽しませる演出を考え、自ら役者の中心で相手をプロデュースする。
玉三郎さん、すごいなぁ…

【中車さんだからこそ】
一幕目は客席が笑いっぱなしでした。
中車さんのリアクションが面白すぎる。
土下座とか見ると「あれ?電気会社の社長!?」と某ドラマを思い出してしまいましたよ…
逆に中車さんだからこそ、ここまで大きな笑いの起きるリアクションがとれたとも言えますよね。
やり過ぎに思えて、玉三郎さん演じるお峰のおかげで浮いていない。
最後は型が必要な部分もあり、少し物足りなさを感じる部分もありました。
でも深いことはどうでも良い!
中車さん・玉三郎さん夫婦がめっちゃ面白い!

【怪談ですから】

でも最後はやっぱり幸せにはなれませんでしたけど。
幽霊怖い。
人間怖い。
そんな怪談。
お芝居の長さは通しで約二時間強。
映画一本分です。
それが幕見席で2500円ですよ!
お得!
通しなので「はっ?このお話の前後とか知らないんだけど」ってこともなし。

【ビキナーズと行く歌舞伎デートに】
とっても見やすい怪談話です。
今回夜の部に上演されているということで、新橋演舞場との梯子をお薦めしたいです。
初歌舞伎の方を歌舞伎の魅力に引っ張り混むために良いと思うんですよね。
まず、現代色強めの新橋演舞場阿弖流為で垣根を取っ払う。
そして「歌舞伎って分かりやすくて面白いかも」と思ったところに子供用プール並みに水深浅めの牡丹灯籠で、もう少し深いところを知ってもらう。
これで完璧や!

笑えてゾッとする牡丹燈籠。
お客さんも思う存分リアクションできると思います。
梅雨時のじめっとした暑さにどうぞ。