ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

十二月大歌舞伎 赤い陣羽織

演出:坂東玉三郎

とにかくこの演出力の高さに感服した一幕でした。

農民(おやじ)が自分とそっくりなお代官と入れ替わるという喜劇です。
戦後、昭和に生まれた作品ですから、わかりやすい面白い作品です。
役名がそのままおやじです。
お代官の部下はこぶんです。

お代官…市川中車
おやじ…市川門之助

中車さんと門之助さんのコミカルなキャラクターが笑えます。

お話、掛け合い、登場人物がすでに喜劇として面白いものなのですが、決してとっちらかったものになっていない。
きっと玉三郎さんの『生かす演出』の力なんじゃないかと思いました。

赤い陣羽織を見て私が思い出したのが、昔小学生の頃に学校にやってきた地方劇団の空気と、まんが日本昔話
最初の音楽から、義太夫ペペンとかじゃなくて、日本昔話のBGM借りたのかと思うぐらいの耳になじみのある音楽。
キャラクターや仕草も決して下品にはならないちょうどいいラインで、是非どっかの小学校に出張して上演してほしいと思いました。
子供が喜ぶ演目じゃないでしょうか。

また、役者が客席に降臨し、お客さんも大喜び。
一階席だけじゃなく、二階・三階席にも降臨しましたからね。
「どうやって移動してるの!?」ってぐらいの早業。
こういうファンサービスを見ると、年末だなと感じます(●´ω`●)
いいですね(●´ω`●)

玉三郎さんの舞台では中車さんは生き生きしているように見えます。
中車さん、本当に玉三郎さんを信頼しているのですね。
玉三郎さんの頭の中にもきっと中車さんを生かすにはというプランがいっぱいあるんでしょうね。
とても大変な挑戦ですが、本当に中車さんには頑張ってもらいたいです。
今までTVや映画など現代劇で蓄えてきた中車さんの良さが、これからも歌舞伎の舞台でどんな反応を起こすのか期待が高まります。


~どうでもいいメモ~
歌舞伎で人間が入るタイプじゃない馬、初めて見たかも。