ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

二月大歌舞伎 積恋雪関扉

そうそう。
2/12の昼公演で、歌舞伎座新開場して来場者数が2,222,222名を達成したそうです。
たまたま行った日が記念日になるなんて!
記念品にハンカチをもらいました。
一幕見の客にもくれるなんてありがたや。



『積恋雪関扉』のあらすじ…
良峯少将宗貞は逢坂の関にある庵で関守の関兵衛と暮らしてます。
そこに彼を慕う小野小町姫がやってきます。
話したりしてたら関兵衛が懐から割符を落とします。
(割符…悪い奴がお互いが仲間かどうかを確かめるときに使うやつ)
「なんやこいつ怪しい!」となる宗貞と小町姫。
で、いきなり鷹が飛んできて宗貞の弟が謀反で殺されたことがわかったり、ニワトリが鳴いて益々関兵衛が怪しいとわかったり。
ここで小町姫は都へ応援を呼びに帰ります。
そして夜のシーンになります。
うとうとしてる関兵衛のところに、傾城墨染がやってきます。
色々あって宗貞の弟が死んだことが分かり、墨染泣き崩れます。
実は墨染は宗貞の弟の恋人だったのです。
で、関兵衛の正体は極悪人・大伴黒主
そしてさらに実は墨染は小町桜の精だったのです。
雪の中、戦う黒主と桜の精でしたとさ。



関兵衛…松本幸四郎
小野小町姫&傾城墨染実は小町桜の精…尾上菊之助




「実はこいつの正体は!(バンッ」というのが見どころですね。
こういう本性を明かす演出を『見顕し』というらしいです。
常盤津の舞踊劇なので唄が聞き取れないと若干途中眠気に襲われそうになりますが、鷹が飛んで来たりニワトリ鳴いたりぶっ返りがあったり、物語の動きは多いので見ていて楽しい作品ですよ。
特にぶっ返りは歌舞伎ならではの大きな見どころです。

そしてもう一つの見どころは、菊之助さんです。
このお話で三役を演じられるのですが、すばらしいでございますよ。
最初は小町姫は可憐なお姫様です。
そして傾城の少し陰のあるような色気と、桜の精の人外の美しさ強さ。
演じ分けが素晴らしく、どれも深みがあって菊之助さんにピタリとハマっております。
どれか一つが抜きんでているというわけじゃなく三役とも抜きんでています。
菊之助さんは同年代の俳優さんの中でも頭一つ抜きに出ているというのがよくわかりました。
陰や毒のある女性をやらせたらぴったり。
私、菊之助さんを勝手に『百合役者』と呼んでおります。
大輪で美しいんだけど、その裏には強い毒があり危険的な比喩を込めて。
このままいけば間違いなく親子揃って人間国宝候補です。

そしてその菊之助さんと対するのが関兵衛の幸四郎さん。
悪い奴の横幅(x軸)を広げるのではなく、悪い奴の深み(y軸)を掘り下げていって、そのスケールを体現しているような気がします。
どーんと押し出す悪役ではない感じ。
漫画でよくある気づいたら敵が根を張っていた!みたいな。
黒い深い部分が根深いからこそ、桜の精との対比が際立ちます。


今回のお話を見て、個人的に「もっと唄の部分を聞き取れるようになりたいな」と思いました。
耳を肥やそう。




今回は筋書きを購入せず、あらすじもあまり予習しなかったためイヤホンガイドを借りました。
イヤホンガイドを借りたのは大昔、まだ歌舞伎に興味なかったころに一度ぐらいあったかな?ぐらいなので、もしかしたら初体験かもしれません。
「歌舞伎を知らない人に楽しさを広めたい」と常々思っているのですが、まずは今あるものの手の内を知らねばとの思いも込めて借りました。
結果→難しかったです。

1.舞台の音とイヤホンの音との共存が難しい。
台詞に被らない絶妙な間でガイドしてくれるのですが、その分唄とかぶります。
ちょっとそこで混乱。

2.解説が難しい。
上演部分以前のお話とか教えてくれるのはうれしいのですが、結構流れるように話してくれるので飲み込みが大変です。
「えーっと誰が誰の何の関係?」と一度だけだとこんがらがります。

3.声のテンションが難しい。
イヤホンガイドって舞台より前に出ちゃいけないし、でも後ろすぎたらガイドできないしで難しいですよね。
でも引っ掛かりがなく、静かに訥々とガイドされるとぶっちゃけちょっと眠くなるのよ!(特に踊りモノ)
個人的にNHKの古典番組の副音声は聞きやすいと思う。
暗くなりすぎずメリハリも聞いててちょっと面白い。
この丁度さって難しいですよね。


まぁイヤホンガイドの案内人にもよるのかな?
でも個人的にはもう少し面白い伝え方があるんじゃないかと思いました。
イヤホンガイドは歌舞伎にあまり馴染みのない人が借りるのが大多数なんだから、もう少しラフな感じで枠から飛び出してもいいんじゃないかな?





~どうでもいいメモ~
菊之助さんを見ると『幽遊白書』の蔵馬の「綺麗なバラには棘があるのさ、ローズウィップ!」という台詞を思い出します。
なのでもし幽遊白書が歌舞伎化した暁には蔵馬は是非、菊之助さんでお願いしたい。
菊之助さんと比べると七之助さんはまだ毒がないので雪菜で。
幽助は歌昇さん?
桑原は勘九郎さんかな~?
幻海は玉三郎さんとか(お婆ちゃんってことじゃないよ!若いときとのギャップを演じられるのが玉三郎さんだと思ったからだよ!)

コエンマの小さいときは米吉さんでwww