ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

猿若祭二月大歌舞伎 猿若江戸の初櫓/大商蛭子島

猿若祭大歌舞伎。
まずは昼の部から見に行ってきました。
母親と一緒に行ったので、奮発して当日券で二等席(一階後方)に座りました。
前方の方の座高問題がなければ視覚的には良いお席なんですが、上に二階席があり天井が低いので声が届きにくい。
そこらへんが一等席との差かなと、一等席に座ったこともないくせに思いました。
そもそも歌舞伎座の一階って初めて。
明治座新橋演舞場と違って本当に歌舞伎専用だから三階や幕見でも結構満足できるので、今まで歌舞伎座の一階はわざわざとろうと思いませんでした。
でも、やっぱり一階から花道見ると良いね。
幕見からだとすっぽんまでが精一杯ですから。


【猿若江戸の初櫓】
江戸歌舞伎の始まりを描いた舞踊劇。
初世勘三郎によって江戸歌舞伎の幕が開けたとは初耳。
猿若座が後の中村座になったんですね。
そう言ったエピソードを基に昭和六十二年に初演された、中村屋にとっては大事な演目です。
猿若が勘九郎さん、出雲阿国七之助さん。
近い親戚筋や中村屋に縁の深い役者が揃い、猿若祭の始まりにふさわしい顔ぶれでした。
鴈治郎さんも出てらっしゃいます。
鴈治郎さんがこの顔ぶれの中にいることが新鮮でした。
扇雀さんは平成中村座の一員でよく拝見するのですが、鴈治郎さんは東京では中村屋と一緒のところをあんまり見ないので…
聞くところによると扇雀さんは野田MAP中とのこと。
もしかしたら扇雀さんが出られない分…という配慮もあったのかな。
ちなみに野田MAPの今作は勘三郎さんへのオマージュだそう。
すんげぇ見たい。

昭和六十二年が初演で、当時猿若を演じられたのが勘九郎時代の十八世勘三郎さん。
多分勘三郎さんへの当て書きも入ってるだろうけど、勘九郎さんが見事に引き継ぎ軽快なお芝居を見せてくれています。
きっと初世勘三郎も新し物好きでサービス精神旺盛な人だったんじゃないかなと想像できる作品です。
江戸時代の中村座にタイムスリップして、初世が勘三郎さんや勘九郎さんにそっくりだったら面白いですよね。



【大商蛭子島】
江戸中村座の顔見世で初演。
そして昭和三十七年、180年ぶりに復活。
その後昭和四十四年に上演され、今回また久々に復活という作品です。
昭和の上演のときは二世松緑が主人公の源頼朝を演じ、時を経て孫の松緑の頼朝で復活。
レアですね。

この演目を見終わった直後にうちの母親が発した一言。

「話、飛躍しすぎwww」

その通り、目まぐるしく色んな展開が飛び出るお話でした。

まず源頼朝は身分を偽って手習いのお師匠様をしています。
女好きで自分の生徒にセクハラしてます。
それ見て、時蔵さん演じる奥さん・おます(辰姫)が嫉妬して夫婦喧嘩が絶えません。
七之助さん演じる北条政子も身分を隠し源氏再興のために頼朝を訪ねてきます。
勘九郎さん演じる坊主が訪ねてきて突然源義朝の髑髏を出して、頼朝にゆさぶりをかける。
しらばっくれる頼朝さんですけど、なんだかんだ源氏再興のために北条政子と結ばれて、代わりに辰姫が身を引きます。
しかし辰姫は嫉妬の炎が燃え盛り「人間ヤメマシタ」の手前まで行きそうになったところ、坊主が祈祷してリフレッシュ!
なんと坊主は超えらい坊主で味方だった!
浄化された辰姫は「源氏のためにお使い行ってくるね!」と意気揚々と任務遂行しに行きます。
したら今度は味方だと思っていた、一緒に暮らしていた下男の六郎が敵方と判明。
すぐに殺されます。
……で、頼朝さんは挙兵しましたとさ。
チャンチャン♪

だいたいこんな感じのお話です。

前半は笑えて、終盤はおふじの決心が痛い……
おふじが良い女房過ぎて、マジ頼朝ぉ……となりました。
政子ちゃんも可愛いし一族の為には政子ちゃんと結ばれなきゃいけないけど、せめて側室とかで置いてあげてよ!



もしかしたら、歌舞伎初心者の方はこの演目はイヤホンガイドを利用されるといいかもしれません。
実は…が多いし、展開も超展開なので。




~どうでもいいメモ~
児太郎丈が猿若にも大商蛭子島にも出ています。
個人的に彼にはもっと大きなお役をやってほしい。
福助さんが休養中で襲名も延期になったままだし、確かに着実にステップは踏んでるけど、もう一歩先のお役に挑戦してみてほしい。
七之助さんみたいなお姫様タイプじゃないけれど、絶対女房系でとてつもなく輝くから!
松竹さん、お願いします!!!