ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

十一月新派特別公演 鶴八鶴次郎/京舞

新橋演舞場で上演中の鶴八鶴次郎/京舞を観劇して参りました。
先月の歌舞伎座に続き、十七世勘三郎さん・十八世勘三郎さんの追善公演です。

最初に「新派ってなんぞや?」「歌舞伎役者が出てるってことは歌舞伎?」って思ってる方へ。
歌舞伎じゃないよ。
全然歌舞伎じゃないです。
現代演劇です。
今回の舞台は大正から昭和初期。
まぁ平成の世から見れば時代劇ですし、やってる演目は人情もので歌舞伎に近いですが。
歌舞伎と現代劇の狭間と思っていただければ。
かくいう私も初めて見たんですけどね。

ロビーに飾られた十七世、十八世のお写真に手を合わせいざ初新派!


まずは『鶴八鶴次郎』

鶴八…中村七之助
鶴次郎…中村勘九郎

鶴八鶴次郎という新内の名コンビのお話。
鶴八と鶴次郎はいつも芸について喧嘩ばかり。
だけど二人は憎からぬ仲。
一緒になる約束までしたのに直前に破局
鶴次郎は場末の寄せに落ち、鶴八は料理店の若旦那のお嫁さんに。
二年後、なんとか鶴次郎を復活させたいとコンビを再結成し、寄せは大成功。
離縁してでももう一度二人でやっていこうと鶴八は覚悟を決めますが、それを知った鶴次郎は芸の道を進むより女の幸せをつかんでほしいと、わざと芸にいちゃもんをつけ喧嘩別れします。

って話。

可愛い→ニヤニヤ→涙でした。

一幕目、幕が開いた瞬間にご両人がいるわけですが。
ごめん。
七之助さんが全く違和感ないんですけど。
めちゃくちゃ可愛いんだけど。
声、仕草、佇まい、どれをとっても可愛い。
また勘九郎さんの鶴次郎との雰囲気がめちゃくちゃいい。
十八世勘三郎さん(当時勘九郎さん)と水谷八重子さんのコンビを見ていらっしゃった方はどんな感想を持つかわかりませんが、私はこのコンビ好きです。
若い二人のツンデレ具合にはたいへん口角が上がりました。
最後の最後にうまくいくと見せかけて、身を引く鶴次郎の心中の吐露は今後もっともっと深くなっていくんじゃないかな。
またこの二人でやってほしい、看板にしてほしい演目でした。

もう本当に、この鶴八鶴次郎には幸せになってほしい!
最後鶴次郎の思いが聞ける場面で「この時代にボイスレコーダーがあればこの鶴次郎の言葉を録音して鶴八に聞かせてあげたい!」とずっと思っていました。
くっそー!ヽ(#`Д´)ノ



続いて『京舞

舞の世界を舞台にした、ほぼ実話なお話。
井上流は実在する流派です。

大正八年から昭和三十三年の京都祇園京舞の家元・井上八千代の物語。
三世・井上八千代こと春子から四世・井上八千代こと愛子への芸の継承が描かれてます。

春子…水谷八重子
愛子…波野久里子

水谷八重子、波野久里子という大女優のすごさをまざまざと見せつけられました。
小さい頃から厳しい稽古に耐え、名と芸を継いでいく世界。
水谷八重子さんもお母様の名前を継がれ、波野久里子さんも歌舞伎の家に生まれ、お二人とも小さい頃から舞台に触れてこられたんだと思います。
その二人にしか出せない円熟した空気。
その存在感たるや。
劇中で舞を踊るのですが、自分女性が踊る日本舞踊を見てすごいと思ったのは初めてだと思います。
お二人の芸に対する人生の積み重ねが表れていて、重いなぁと。
芸を志す者にとっては重すぎる覚悟で、この舞台に立っているのは本当に同じ人間なのかと自分を見つめなおしました。

ほぼほぼ鶴八鶴次郎目当てで新橋演舞場に行きましたが、このお話見れてよかったです。
あとね、勘九郎さん演じる博通が好青年でめっちゃ好み(*''д`*)ポッ

そして京舞の劇中で、十七世と十八世の追善がありました。
舞台にお二人の写真が飾られていると、なんだか変な気分。
本当にまだ十八世勘三郎さんがお亡くなりになったのが信じられません。
もう三回忌なのに。
おかしな感じです。
この追善では毎回違うゲストを招いて十七世と十八世の思い出を語っていただくということで、私の回は黒柳徹子さんでした。
貴重なお話を聞けて会場大爆笑。
時間いっぱい使って徹子ワールドに引き込んでいってくださいました。

毎回毎回違うゲストさんがいらっしゃるので、毎回毎回違うお話が聞けると思います。
明石家さんまさんが来る回もあるし超豪華!
ゲストさん目当てで演舞場に足を運んでみてもいいかもです。

ちなみにゲストコーナー出演者予定はこちら
http://www.kabuki-bito.jp/news/2014/10/post_1222.html(公式サイト歌舞伎美人



そうそう。
追善の挨拶で七之助さんの「先ほど兄も申しておりました通り…」がまた聞けました。
七之助さんのこの言葉よく聞きます。
本当にお兄さんを立てる弟さんです。
お父様が生前「兄弟仲良く」とおっしゃっていたらしいですが、本当に仲の良いご兄弟ですよね。
間違いなく若くして、生まれながらの(?)、もう代わりはいない名コンビです。





~どうでもいいメモ~
新橋演舞場は三階席でも結構座席が急なので見やすいですよ。
あと鶴松丈が可愛い。
そして柄本明さんと近藤正臣さんも出演されてましたが、普段の柄本さんもやっぱり柄本さんでした(*´∇`*)