ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

寿初春大歌舞伎 蜘蛛の拍子舞

昼の部、続いては『蜘蛛の拍子舞』です。

あらすじ。
荒れ果てた空御所に物の怪が出るとの噂を聞き、部下の渡辺綱たちとやってきた源頼光
しかし、そこで病気になってしまいます。
そこに突然現れたのは美しい白拍子妻菊。
妻菊は病に伏せる頼光のために踊りますと。
綱と頼光と三人一緒に踊る最中に、妻菊の本当の姿が女郎蜘蛛の精で、頼光の病気の原因もこいつということが判明。
女郎蜘蛛の精を追う頼光と綱たち。
しかし女郎蜘蛛の出す蜘蛛の糸に苦戦。
そこに坂田金時がやってきて、見事に蜘蛛を退治しましたとさ。




this is シンプル!

見どころ・内容共に、とてもわかりやすい作品です。


妻菊・蜘蛛の精を玉三郎さん。
頼光を七之助さん。
綱を勘九郎さん。
坂田金時染五郎さんが演じます。



とにかくこの演目は、玉三郎さんの技術の美がすごい!
白拍子の舞もとても美しい。
本性を現してからは手からどんどん蜘蛛の糸を出し頼光達に襲いかかるのですが、それがマジックのよう。
息つく間もなく、どんどん出します。
それも糸の広がり方がすごく綺麗。
どういう原理であんなにきれいなものが出来るのか気になります。
そしてその玉三郎さんの糸芸(?)を支えるのが、後見の皆様!
玉三郎さんの放った糸を回収したり、また玉三郎さんに糸を渡したり。
寸分の狂いもなくその仕事をこなす後見さんが本当にすごい。
少しでもミスをすると、役者に糸が絡まったりして動けなくなる危険もある演目だと思うんです。
それを玉三郎さんと呼吸をきちっと合わせて作り出す後見さんの素晴らしさたるや。

最後の糸大放出は見どころです。


七之助さんの立役はもう珍しい部類ですよね。
自分が見たのは去年の八月の恐怖時代以来かな。
七之助さんが頼光をやると線が細いので儚さがあるのです。
ちょっと小さいころから身体が丈夫ではない喘息もちの美少年的な…(*´∇`*)
そこに集まる勇猛果敢な戦士たちとの魂の絆的な…(*´∇`*)
自分は今回初見だったので他の方のを見たことないのですが、多分菊五郎さんとかが頼光やったら全く違う印象の頼光なんでしょうね。

染五郎さん、最後パッと出てきて終わっちゃったけど、やっぱり良いよ。
うん。
自分もそんなに前々から歌舞伎に詳しいってわけじゃないけど、やっぱり弁慶やってから染五郎さんが変わった気がする。





今月は昼・夜と共に玉三郎さん祭りです。
夜の部の『女暫』と共に『蜘蛛の拍子舞』、玉三郎さんの作り上げてきた美しさを堪能してみてください。






~どうでもいいメモ~
本性を現した蜘蛛が、リアル蜘蛛じいだった(千と千尋の神隠しの)
絶対宮崎監督、この演目参考にしてるよね!