ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

十月大歌舞伎 鰯賣戀曳網

十月大歌舞伎、締めの演目は『鰯賣戀曳網』です。

終始手堅い演目だった十月大歌舞伎ですが、これは締めにふさわしいハッピーエンドのお話です。
三島由紀夫の作品だったってことに驚き。
気持ちよく劇場を後にできました。


あらすじ…
鰯売りの猿源氏はひとめぼれした傾城の蛍火に会いたくて、仲間や父親と画策し、大名の振りをし会いに行きます。
作戦は見事成功し蛍火に会えますが、つい寝言で鰯売りの文句をしゃべってしまいます。
蛍火に「鰯売りじゃないんですか?」と聞かれても「いや大名です!」と嘘をつきとおす猿源氏。
しかし実は蛍火は…



言いたい!
言いたいけど、面白いし、わかりやすいから、是非結末は生で見てください!



猿源氏…勘九郎
蛍火…七之助

この二人の周りを彌十郎さんや獅童さん、若手が囲みます。


猿源氏と蛍火は長年、勘三郎さんと玉三郎さんの黄金コンビで演じられてきた役柄。
それを中村屋兄弟が受け継ぎました。

猿源氏はとにかく可愛い青年です。
愛嬌があり、でも一途で、登場した瞬間から絶対に幸せになってほしいと思えます。
勘九郎さん持前の愛嬌の良さや間が、とっても心地よく猿源氏ぴったり。
踊りの身のこなしも、さすがでございます。
親子三代にわたっての当たり役になりそうですね。

蛍火もまた、かわEEEEEEE!
結末が関係してるから言いにくいけど、まぁおっとり、でも一途で強い女性です。
七之助さんにぴったりな、超ぴったりな役柄です。
玉三郎さんから受け継いだというのもうれしいです。
同時に、勘三郎さんと共に玉三郎さんの蛍火は卒業なのかなと思うと寂しいですが。

兄弟でこういう役柄を演じられるって本当に強みですよね。
兄弟ならではの関係と言いますか、絆がいい具合に舞台にもにじみ出てるのです。
「くそーイチャイチャしやがって(´∀`*)」
「ここに式場を立てよう(⌒∇⌒)」
と、最後は終始ニヤニヤしてましたさ。


そうそう、あとね。
傾城役で、巳之助丈・新悟丈・児太郎丈・虎之介丈・鶴松丈が出ているんですが。
また一つ下の若手世代そろい踏みですよ。
涎モンですよね。
御曹司組に鶴松丈というリアルぴんとこな
皆可愛いし面白い。
この中で誰でもいいから身請けしたいです、ガチで。
その中でも、やっぱり巳之助さんと新悟さんはセット売りなんでしょうか(笑
巳之助さんは短い台詞でも、お芝居の勘が良いのがわかります。



十月大歌舞伎は、十七世・十八世の勘三郎さんの追善公演でした。
やっぱりお二人は幅広い当たり役が多かったんだなというのが、今回のラインナップでわかります。
この役たちを、勘九郎さん七之助さんが三代にわたって当たり役として引き継いでいけるか。
また新しい自分たちの形を作り上げていけるか、今後に益々注目です。
でも、再三になりますが。
本当に兄弟っていうのが強みになってくると思います。
今この年齢で、実兄弟で立役と女形で並べるっていうのは、ちょっと上になるけど福助さんと橋之助さんぐらい?
今後も「兄弟揃っての舞台は格別」と言われるものをどんどん作り上げていってほしいです!






~どうでもいいメモ~

すごいよね。
十七世勘三郎&六代目歌右衛門コンビから、十八世勘三郎玉三郎コンビ。
そして勘九郎七之助コンビへとバトンタッチ。

馬キター!
頭目ー!