赤坂大歌舞伎に初めて行ってきました。
個人的に赤坂は結構馴染みがある街ですが、TBSのお膝元、ビルに見下ろされた近代的な劇場でで歌舞伎が見れるとは。
でも、ACTシアターの周りはのぼりが立ち、江戸の職人さんがお店を出していたり、そこだけ時代が交差してました。
【操り三番叟】
二本立てで送る赤坂大歌舞伎。
まずは操り三番叟。
三番叟は『翁』というお能から派生した踊りで、いろんなタイプの三番叟がありますが、これは操りという名の通り人形が踊るというもの。
人形を演じるのは勘九郎さんです。
この操り三番叟は昔テレビで見たことがありまして、「なんつー身体表現。おそろしや」と唖然とし、私の中では鬼畜三番叟との異名を勝手につけさせてもらってました。
今回生では初めて見たのですが、やっぱりすごい身体表現を伴う踊りです。
先月歌舞伎座でやってた京人形も人形が動き出すという作品でしたが、こちらは人間っぽさを極限まで排除した糸操り人形の滑らかさが味わえます。
ジャンプの一つにしても、人形を糸で宙に吊り上げているような動きなので滞空時間が人間業じゃない。
人間の関節ってこんなに滑らかな動きをするのってぐらいの屈伸運動。
「何故グル○サミンが赤坂大歌舞伎の協賛についてないんだ！」と思ってしまうほどの関節行方不明。
また一人で踊るのも大変そうなのに、人形を操る人・後見さんとの阿吽の呼吸も大変そうでした。
人形が地べたに這いつくばって後見に糸を引っ張られて手を動かすところとか、後見の動作が見えていないわけですし。
後見さんに抱えられて高く飛ぶところとか息が合わなければバランス崩しそうだし。
音と呼吸と全てを体にしみこませておかないと成立しない踊りです。
とにかく勘九郎さんの運動神経が如何なく発揮されている踊りです。
身体能力が高い勘九郎さんだからこその操り三番叟です。
後見は中村国生丈。
良いお役をもらいましたね。
彼の緊張感がこちらにまで伝わってきましたが(⌒∇⌒)
国生丈然り、今回の赤坂大歌舞伎は特に若手をふんだんに使っているという印象を受けます。
人形登場前に踊る翁と千歳は、彌十郎さん・新悟丈の大和屋親子。
こちらの二人、歌舞伎界を切っての長身なので二人ならんで舞いますと、舞台がとても狭く感じます（・∀・）
とっても見栄えのする親子でございます。
なんか台風とか日照不足とかで最近農作物不作ですから、この三番叟で五穀豊穣、天気が回復すればいいですね。
【お染の七役】
休憩挟んで、もう一本は『お染の七役』
あらすじはややこしいので書きませんが、お染と久松の心中物語（実話らしい）に色んな要素をくっつけた、名刀とその鑑定書を中心に巡っていく話。
見どころはなんといっても七之助さんの七役早替わりです。
お嬢様や奉公人や許嫁や芸者や強請や…様々なお役に早替わり。
衣装だけじゃなく声、所作、内面、全てが早替わりします。
一人の人間が同時進行で演じているとは思えないほど、合成してるんじゃないかと思うほどの演じ分けです。
玉三郎さんに師事して教わったお役ということで、端々に玉三郎さんを感じるのがまた面白いところです。
早替わりのトリックはわかるところもあれば、「ファッ!?(つд⊂)ｺﾞｼｺﾞｼ」っていうところもあり…
乳房榎でも勘九郎さんが三役早替わりやってましたが、女役は女役で衣装がまた凝ってますからね。
特に歌舞伎で時々見かける、傘ですれ違い様入れ替わるってトリックが未だにわかりません。
あれどうやってんの？
まぁいくら考えたところでわからないので、素直に「すごいなー」と呑まれているほうが楽しめますけどね。
個人的には七役の中でも土手のお六というお役が好きです。
しょうもねぇ人ですけどカッコいいです。
あと何気に、お染の七役で色んな役者さんを差し置いて気になった役者さんが丁稚の長太！
赤坂大歌舞伎唯一の子役さん（ちゃんじゃない。さんと呼ばせてくれ）です。
ただWキャストなので、筋書きに名前が載っている阿部君か河城君かどちらかわからない…orz
この子役さんの所作がめっちゃ美しい。
お茶出し、座布団出し、襖の開け閉め、全ての所作が美しい。
今まで「集中力凄いな」とか「面白い掛け合いするな」とかそういう目で子役ちゃんを見ていることはありましたが、ここまで所作に目が行く子役さんは初めてかも。
子役というフィルターではなく、役者フィルターで見れた初めての子役でした。
この子が誰なのか、知ってる方教えて(´▽｀)
そのうちどっかの部屋子とかになったら嬉しいな(´▽｀)
てなわけで、赤坂大歌舞伎、9.25まで赤坂ACTシアターでやってま～す。
ご興味ある方は是非。
～どうでもいいメモ～
終演後、ロビーで可愛い髪形の子供がスーツのスタッフさんに抱っこされてて「ニコニコしてて可愛いな」と思ってたら勘九郎さんの息子さんでした（＾∀＾）
