ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

五月花形歌舞伎 野崎村/怪談乳房榎

初上陸。

大阪松竹座!!


ということで、GWを利用し初めて大阪松竹座に行ってまいりました。
個人的には、あの「エイトが売れない頃に舞台をやっていた、ここが大阪松竹座…(´;ω;`)」と感動しました。

お目当ては七割方、野崎村。
自分で言うのもなんですが、乳房榎じゃなく野崎村目当てで大阪まで遠征する人は少ないんじゃないかな?
そしてせっかくだからと、一泊して翌日は昼の部も予約。



【野崎村】

野崎村、乳房榎共に、前回歌舞伎座で上演されたものを観劇済みです。
その時の野崎村で七之助さん演じるお光ちゃんと、お染ちゃんを演じた児太郎丈が忘れられず…
今回は久松が歌昇さんで(前回は扇雀さんだった)、形歌舞伎らしい若さが際立つ配役でした。
歌昇さんはお顔がシュッと二枚目なので、女子二人に惚れられる久松にぴったり。
また七之助さんと児太郎丈も背が高いので、久作演じる彌十郎さんの身長とのバランスが良し。

野崎村の見どころはなんといっても、光ちゃんの急転直下ぶり
久松との祝言でウッキウキで、久松を追いかけてきたお染ちゃんにも強気なお光ちゃん
久松とお染の再会で、久松の心が自分にはなく、二人の「死して一緒に…」という決意を知ってしまった尼姿のお光ちゃん
前半からの「嬉しかったはたった半刻」というお光ちゃんの嘆きがもう……


いや、もう自害しないだけ偉いよ。お光ちゃん


最後、久松は籠で、お染は船で、野崎村を出ていくんですけど、その時のお光ちゃんの表情がたまりません。
二人が見えなくなるまで唇を噛み、涙を見せずに見送る七之助さんを是非皆様オペラグラスでご堪能ください。
また、その場面は無音という憎い演出にもなっております。
鐘の音一つで、お光が久作に縋り付いて泣くのですが、この無音のタメが素晴らしく感情の昂ぶりを表現しています。

っていうか、七之助さん、まだ野崎村二回目なんですよね!
多分七之助さんの容姿的にお染ちゃんは間違いなく合うとは思うんですけど、お光はそれ以上にハマり役だと思います。
児太郎丈の育ちの良さと、七之助さんの村娘の気性の対比がドンピシャで気持ちいい。
は~、この配役、松竹さんを崇め奉りますわ。 (´▽`)




怪談乳房榎

円朝創作落語を基にした歌舞伎です。

画家の菱川重信と、重信に仕える下男の正助、そして金のために正助と重信の息子を殺そうとするうわばみ三次を、勘九郎さんが早替わりで務め、
重信の奥さんのお関を七之助さん、重信を殺してお関と家を我が物にしようとする磯貝浪江を猿之助さんが演じます。

早替わりや本水をつかった演出で見どころ満載。
自分は運よく花道の横で観劇できたので、今まで謎だった早替わりの方法などがわかって(わかったところで実践は出来ない)目からうろこ。
そして所々で、劇場ロビーを駆ける勘九郎さんの足音が聞こえるんですよね。
初日に勘九郎さんがぎっくり腰になったというニュースを見ましたが、「マジか」ってぐらい走る、動く、見得を切る。
歌舞伎役者さんってほんとバケモノですね……
でも早替わりばかりに目が行きますが、勘九郎さんの三者三様の演じ分けも素晴らしいです。
表情がコロコロ変わるのは、中村屋お家芸な気がします。

本水を使う場面の直前には水よけ講座も行われ、転換の間も客席を飽きさせません。

前回歌舞伎座で見たよという方も、以前の歌舞伎座乳房榎とは終わり方が違いますのでご安心を。
私の記憶では以前は勘九郎さん演じる円朝が登壇し、落語の高座風に終わっていたはず。
今回は超シュールで、一瞬客席が「えっ、なんだなんだ」とざわつく終わり方です。
大阪らしいというか……
今回も落語風には終わるのですが、一番近いのは暗転しない笑点のコントの終わり方でしょうか。



そして、五月花形歌舞伎は大鵬薬品ソルマックの提供でお送りしております!!!

これ大事。

ありがとう、大鵬薬品さん!




~どうでもいいメモ~
大阪松竹座の一幕見席少なっ!!
争奪戦すごいでしょ、これ。