ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

南座吉例顔見世興行 仮名手本忠臣蔵・お祭り・鳥辺山心中

時間がないので、三本まとめて感想を書かせていただきます。

顔見世歌舞伎は歌舞伎の公演でもとっても大切な公演。
東西合同大歌舞伎ということで、京都南座に東西の名優が揃いました。

今回初めて南座で歌舞伎を見て思ったこと。


「近い!」


むっちゃ近い。
本当に昔ながらの小屋という感じなので、3階席で見ても俳優さんが近くに感じます。
座席の固さも、昔の歌舞伎座を思い出す固さ…お尻が(´;ω;`)…
あと前の座席との間隔が昔の人サイズなので、足がむくむ…
でもその分近いのでハピネス♪



夜の部一本目は、『仮名手本忠臣蔵 九段目山科閑居の場』

忠臣蔵を見ると年末って感じがひしひしと…
あらすじは、一段目から紹介しないとわかりにくいから割愛!

戸無瀬は藤十郎さん。
由良之助が梅玉さん、本蔵は幸四郎さんとさすが顔見世という顔ぶれが並びます。
残念なのが顔見世の貴重な若手枠である壱太郎丈がインフルエンザで休演という…
またお役が小浪という藤十郎さん演じる戸無瀬の娘の役ということもあり、内心「藤十郎さんにうつったら危ないじゃん!」と藤十郎さんの心配のほうが大きい休演でした…
ちなみに終演後、隣に座っていた歌舞伎通らしき方が「あんなんで襖倒れるんかい(笑)、本当に倒れたらもっとすごい音しそうやけどな(笑)」「刺されてから死ぬまで喋りすぎ(笑)」とツッコんでいたのには笑いました。
ですよね(´▽`)
扇雀さんの力弥くんが好きです。
扇雀さんは本当に立役から女役まで幅広い役柄を演じられますが、若いイケメンも凛とした空気感で大好きです。



夜の部二本目は、『お祭り』

お祭りはもう何回も見てます。
こちらはあらすじは…いらないですね。
神田のお祭りで踊る鳶頭の舞踊です。

んもう!
仁左衛門さんの色気がやばい!
南座が近いこともあり、仁左衛門さんの色気が2階席まで攻めてくるんです!
あの流し目は反則です(*´Д`*)
不思議なのがこれは東京神田のお祭りを描いた舞踊なのですが、仁左衛門さんが南座で踊ると上方の色気がするんです。
酔いながらも色気たっぷりに軽々と若い者をあしらう仁左衛門さんは格別。

テレビとかで眼鏡姿の素顔の仁左衛門さんを見ても「かっこいい」と思うだけなのですが、舞台に立った途端のあの色気。
これは私の予想なのですが…
きっと仁左衛門さんの眼鏡は、色気を抑制する装置なのではないでしょうか!?



夜の部三本目は、『鳥辺山心中』

超簡単にあらすじ。
武士の半九郎と遊女お染は良い仲。
今日も仲間の市之助とお染や遊女お花たちと飲んでます。
半九郎は江戸に帰る前にお染を自由の身にしてやりたいと、市之助にお金貸してと頼む。
そこへ市之助の弟・源三郎がやってきて「兄者なに遊んでんじゃい!遊びすぎじゃい!」と怒る。
その怒りは半九郎に飛び火。
「武士の面汚しじゃ!」とまで言われて半九郎キレて四条河原で決闘。
結果源三郎を殺しちゃって、お染と一緒に死ぬしかないとその場を去る…

「なんて日だ!Σ(゚д゚;)」って感じのお話ですよね、まったく。

半九郎…橋之助
お染…孝太郎
お花…七之助
市之助…扇雀

孝太郎さんとか東京歌舞伎座ではあまり見られないので南座ならではって感じでした。
お染がとっても可愛らしくて、序盤の表情と後半の対比が切ないですね。
橋之助さんも不器用さが伝わってくる半九郎でお似合いでした。
それに対するは、市之助とお花の遊びなれた粋なカップル。
扇雀さんの遊びなれた感はさすがです。
そしてほろ酔いお花の七之助さんがこれまた可愛いくて、小気味いい。

しかし全体的にこのお話、個人的には感情移入はできないかな…
いや、源三郎が可哀そうで。
無骨者ということで出てきましたが、兄を戒めてただけなのに…
そりゃちょっと口が悪かったけど、でも殺されるのは可哀そうすぎる('A`|||)
で、「斬っちゃった…死ぬしかない…」って悲壮感出されても…

こればかりは江戸の美意識の感覚だからしょうがないですけど。




というわけで、昨日感想を書いた『爪王』を加え南座を堪能できた一日でした。

歌舞伎目当てで京都に遠征する日が来るとは…
自分成長してますな。