ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

六月大歌舞伎 義経千本桜(川連法眼館)

歌舞伎座新開場以来、初の宙乗りでございます。
7月・8月の歌舞伎座チラシも手に入れて演目チェックしてたら両月とも宙乗りがあり、まさかの三カ月連続で猿之助さん宙乗り
「何故にそんな連続して宙乗り!」と思いましたが、入場して納得。
明治座みたいに天井に開閉式の宙乗り専用装置がついているわけではなく、あくまで三階席の客席を一部潰して作ってある簡易的な感じなんですよね。
こりゃ一回宙乗り始めたら数か月続けないと、手間的にも費用的にも損ですわ( ´_ゝ`)ノ
逆に歌舞伎座では宙乗りは毎年できるものでもないということ。
この三カ月は貴重ですよ。

【これが欲しかった!】

義経千本桜は歌舞伎の中でも有名な演目です。
碇背負って海に身を投げたり、権太が親に刺されたり、狐が鼓と戯れたり、個々に上演されることが多いですが今回は三部制で一続き。
あまりに個々の印象が強いので、こうやって並べられて改めて「これも義経千本桜だったな!」ぐらいに思えます。
そんな今回の見どころたっぷり、趣向を凝らした三部だからこそ、松竹さんが嬉しいものを作ってくれました!
人物相関図のチラシです!
手に取った時には「これだよこれ!歌舞伎ビギナーにはこれが欲しかったんだよ!」と松竹さんを崇め奉りました。
一部・二部・三部、全ての関係性を図にしていただけたことによって、めっちゃわかりやすい。
ぶっちゃけイヤホンガイドよりわかりやすいと思いました。
忠臣蔵とか義経千本桜とかは、これが一枚あるだけで大変見やすくなると思います!
永久保存版で、今後も大活躍しそうな一枚です。

猿之助さん】

さてさて、源九郎狐の宙乗りを見るために歌舞伎座に行ったわけですが……
猿之助さんの源九郎狐が素晴らしい。
猿翁さんから継いで当たり役になってると思います。
可愛すぎて超癒し。
その可愛さを作り上げているのが、演技力、そして肉体的表現なんですよね。
舞台をめいいっぱい使って子狐の悲しみ・歓びを表現しているのですが、その裏での格闘は想像もできないぐらいすごいものなんでしょうね。
世界の役者やダンサーをかき集めても、歌舞伎役者の運動能力ってそのトップの方にいると思います。
目を凝らしても、猿之助さんの身体の動きが理解できないぐらいの神業の連続です。
そしてその神業たちは子狐の心の動きの上にきちんと乗っかっており、決して肉体的表現だけに頼っているのではないのが素晴らしい。
個人的には猿之助さんは、古典をやっても新作をやっても常にそこに新しい息吹を感じることができる方だと思います。
古典に忠実に演じていても、そこに現代の生を感じます。
決して古典が上手くないとかではなく、昔を咀嚼して現代の自分の身体を憑代にうまくアウトプットしている感じ。
こういうのって澤瀉屋さんの血筋なんでしょうかね。

【可愛いpart2】

源九郎狐も可愛かったのですが、静御前も可愛かった。
静御前は笑也さんでした。
めちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ可愛かった。
何あのお姫様。
めっちゃ可愛いやん。
多分、今まで見た静御前で一番可愛かった。
可愛すぎて、源九郎狐と静御前のツーショットの舞台写真が欲しくなりました。



今月、外国の方や歌舞伎初心者を歌舞伎に引っ張り込みたいなら、この演目お勧めです。
宙乗り効果も相まってか幕見席の売れ行きもいいみたいですよ。





~どうでもいいメモ~
四谷怪談で心に溜まったモヤモヤが、源九郎狐のおかげで晴れました。
四谷怪談の昼の部と源九郎狐のはしごは結構おすすめかも。