やはり祝日の歌舞伎座は大賑わい。
ということで、昼の部を見に行ってきました。
本朝廿四孝の四段目『十種香』です。
身分を隠し花作り蓑作として生きる武田勝頼、武田勝頼の許嫁の八重垣姫、武田勝頼の身代わりとして死んでいった偽勝頼の恋人の濡衣の、それぞれの思いが描かれた場面です。
時代背景は甲斐国と越後国がやりあってたころのお話ということで、詳しいあらすじはググってください( ´_ゝ`)
勝頼…尾上松也
八重垣姫…中村七之助
濡衣…中村児太郎
若手が組んで歌舞伎でも屈指の難場面に挑みます。
難場面というか、この八重垣姫は歌舞伎の女方の中でも三姫と数えられる屈指の難役の一つ。
許嫁の死を悲しみ、その許嫁にそっくりの男を見つけ恋心をぶつけ、彼を救うために父を説得しようとする。
言葉で書くと簡単に見えますが、実際舞台で演じているのをみると、ただただ難しそうだなと思いました。
シェイクスピアのようにつらつらと感情むき出しにして台詞を吐き出すこともなく、静かに震えているだけなく、お姫さんというキャラクターの中で、どのくらい感情を動かし背景を伝えられるか…
私はもちろん女で、女形をやったこともないので、その苦労はわかりません。
ただ、漠然と難しい役だというのは伝わってきます。
少し間違えると嫌なお姫様に見えてしまいそうですし。
いくら名場面とはいえ、この場面だけを切り取って演じるのも難しいですよね。
もしかしたら最初から通しで本朝廿四孝を見ていったら、こちらもあらかたストーリーや登場人物の背景を把握しやすいかもしれません。
筋書きにいくら『これまでのあらすじ』が書かれていても、やはり絵で見ないとわかりません。
昔と違って古典作品になじみがなくなってきた世代の一人としては、自動的におすすめポイントをピックアップして見れるのも助かるのですが、同時にその作品の筋にもきちんと触れていくことが大事なんだろうなと思いました。
しかしまぁ、何を言っても、歌舞伎はいいとこどりで上演できるのが、強みであって文化であります。
だから、その一幕でどれだけ初見のお客さんをひきつけられるか、役者さんの瞬発力に頭が下がります。
~どうでもいいメモ~
若手は線の細い女形が増えてきているような気がしますが、児太郎さんってそことはまた違う味があって貴重な女形だと思う