ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

八月納涼歌舞伎 芋堀長者

昨年亡くなられた十世三津五郎さんが生前に復活された舞踊劇。

日本一の踊り手を婿にとるよというお姫さんの婿選びの席のお話。
最初全く踊りが踊れない男の代わりに踊れる友人が面をつけて踊るのですが、姫さんに面外してと言われしょうがなく踊るも踊れるわけがなく…
最終的に姫さんと友人と三人で踊るけど、一人だけ遅れて踊る始末……

【踊りの妙】

しかしまぁこの一人だけ合っていないという踊りが、合ってはいないけど気持ち悪くない。
一人だけ不格好だけども、三人でひとつの踊りに見える。
最後大団円で皆で芋堀踊りを踊る場面には、現代的のようなものも見えて新鮮。
踊りの妙とでも言うんでしょうか。
とても面白かったです。

三津五郎さんがいた】

終始、三津五郎さんの知識や芸が詰まっているような気がしました。
昔の資料を掘り起し、新しい振りを付けていく。
三津五郎さんがこの作業をなさったことによって、昔の芋掘長者はわからないけど、誠実に復活されたんだなということは踊りのおの字も知らない自分でも感じ取ることが出来ました。
余計なものがそぎ落とされたシンプルに笑える舞台でした。

【踊りの名手だからこそ】

主人公の芋掘藤五郎を演じたのは橋之助さん。
友達治六郎は巳之助さん。
三津五郎さんが芋掘長者を復活させてから、ずっと冶六郎を演じてきた橋之助さんが藤五郎です。
踊りが上手い人がやるから成立する役柄でもある藤五郎です。
橋之助さんさすがに安心感がございます。
滑稽で可愛らしかった。
治六郎との掛け合いも笑えます。

見やすく面白く、踊りが好きになれる演目だと思いました。





~どうでもいいメモ~
お尻フリフリする振りがあるのだが、個人的には鶴松丈のお尻が思いの外小さくて可愛かった。