ひのきのぼうの沼日記

そう、人生は沼だらけ

八月納涼歌舞伎 京人形

短いお話ですが、とっても綺麗で面白い作品です。

【えっ、京人形は!?】

左甚五郎は彫工の名人で、廓で惚れた太夫そっくりの人形を彫ります。
すると、なんとあまりの思いの強さに、人形に魂が宿って踊り始めます。
人形と一緒に踊ってうっきうきな甚五郎。
踊り終わって人形をしまうと、奥さんのおとくさんが飛び込んできます。
なんと、娘として匿っていたお姫様を差出せとの追っ手が!
甚五郎、姫を逃がして追っ手と対峙!

という、30分ぐらいの一幕のお話なのに、前後半で話ががらりと変わります。
京人形が出てくるのは前半のみで、後半はまったく別物へと変わります(・∀・)

【人と人形の狭間で】

甚五郎を演じるのは勘九郎さん。
京人形を演じるのは七之助さん。
京人形は、甚五郎を真似て踊る部分と、太夫として女の舞を踊る部分があるのですが、基本が人形なので人の動きではありません。
だからと言って操り人形でもない。
不思議な動きなのです。
これは是非生で見てもらいたい。
その美しさ、芸の細かさに、見惚れます。

この中村屋兄弟はほんと奇跡の兄弟だよね…

【ちなみにうっかり奴は隼人丈】

後半は、甚五郎vs追っ手。
ちなみに甚五郎さん、中盤で姫を救いに来た奴に敵と間違われて右手を斬られます。
うっかりじゃすまないようなミスですけど、それを許す甚五郎すごい。
ちなみにちなみに姫と奴、舞台上に三分ぐらいしかいないんじゃないかな?
それぐらいパッと出て、パッとはけていきます。
甚五郎さんが武器として使うのは、のこぎりだったり鉋だったりトンカチだったり、彫工道具。
ユーモアあふれるシーンです。

【良妻の鏡】

個人的に、このお話のすごいと思うところは甚五郎の奥さん・おとくさん。
夫が太夫の人形作ってもOK。
それを肴に一杯やるときも仲居さん役を引き受ける心の広さ。
甚五郎さんもおとくさんに「妻はおまえだからな」って言ってますけど、そんなフォローがあったとしてもよく笑顔でいられるもんです。
いい奥さんだな…

そうそう、舞台+人形と言えば、ガラスの仮面だよね。
七之助さん見て、ガラスの仮面を思い出しました。




~どうでもいいメモ~
自分がもし脚本家だったら、京人形を途中でしまわないですね。
甚五郎の真似をして京人形も追っ手と戦うとかしたら、面白いのに…なーんてね。