妄想チラシが色々と反響をいただき嬉しい限りです。
演目に元ネタはあるんですか?
という質問をいただきましたが、ございません。
すべては、幕見を説明するときどんな説明が分かりやすいのかという自問自答から始まりました…
結果
「寅さんのメロン事件だけを抜き出して上演するみたいなもん」
という答が出たのですが、これじゃ寅さん知らない世代に幕見を説明できないじゃんということに気づきました。
というわけで、今回の着想に至るわけです。
演目を考えるにあたって重視したのが「お話全体をしらなくても、なんかこの場面は知ってる!」というシーンがあるということ。
歌舞伎と同様、そこだけ抜き出しても見せ場があるというのを第一に考えました。
(ただ大変だったのが、自分が映画をあまり見ない人間だということ。それが幸いしてか、比較的コアな作品よりメジャーな作品を選べた気がします)
寅さんの次に思い付いたのは舞踊座頭市だったと思います。
「昼の一本目は踊りが多いよね。ちょうどトレースする本物のチラシも三番叟だし」から始まり「踊りが有名な映画ってなにがある?」となります。
候補としては『座頭市』『バーレスク』とか。
個人的にバーレスクは大好きな作品ですが、朝っぱらからは刺激が強い。
座頭市は見たことないけどタップシーンがあるのは知ってる。
「祭りのシーンっぽいし、出てるの町人だし、歌舞伎にいいじゃん」ってことで座頭市に。
次は、ハリポタ。
トレース元が『井伊大老』で二幕五場ということで、ちょっと長めの話がないかなと考えて。
映画を普段見ない自分が考え付く限界がハリポタでした。
どのシーンを使うか迷いました。
大詰のシーンやクディッチのほうが絶対盛り上がるけど、たぶんそれを入れると絶対昼夜通してお腹一杯になる。
なので、組み分け帽子のシーンからトロールのシーンまでにしてちょっと腹7分目ぐらいにしました。
次に思いついたのが、黄色布。
これはトレース元が『勧進帳』で、頭に「歌舞伎十八番の内」と書いてあるのでそれを生かしたいと。
歌舞伎十八番→成田屋→大スター→映画の大スター→高倉健
というわけで、健さんの作品で思いつくのをあげてみました。
『あなたへ』『南極物語』『幸せの黄色いハンカチ』など。
『あなたへ』は一番印象にあるけど、これは通しで見ないといけないお話だし…
ということで、南極物語改め『犬再会』と幸せの黄色いハンカチ改め『黄色布』で悩みました。
ただ連日の追悼番組で一番多く流れているシーンがハンカチ発見のシーンだったので、こちらに決定。
そして次が、貞子。
ここまで作って、あとないジャンルって怪談?
というわけでホラー映画をリストアップ。
『リング』『エクソシスト』『シックスセンス』など考えました。
ここで決め手になったのが最初にも言った「映画のタイトルより有名なシーン・人があるか」というところです。
シックスセンスは最後のオチより映画のタイトルが有名。
エクソシストのブリッジも捨てがたいけど、貞子には勝てず。
リングという名前は知らなくても貞子という名前は知ってるという人多いと思う。
あとスピード感は違うけど、貞子がテレビから出るシーンと四谷怪談の提灯抜けがちょっと重なったので。
最後の最後まで悩んだのが、バルス。
『御存鈴ヶ森』を生かしたい!
でも現代で御存ってなんだろう。
鈴ヶ森は鶴屋南北の長い作品の一部だそうですが、その作品がなにかは知りません。
でもそれだけ鈴ヶ森のシーンは通しの芝居より有名だってこと。
しかし、現代にそれほどのインパクトを残す作品・シーンはあるだろうか?
『E.T.』の指突き合わせる場面?→いや、E.Tという作品自体が有名すぎる
『マトリックス』の上体反らし?→いや、マトリックスという名前が先行する
『バルス』は?→いや、バルスって作品名じゃないし、ラピュタだし…あれ?
まぁ、私がラピュタをほとんど見たことないっていうのもありますけどね。
こんな感じで貞子同様、「ラピュタの大筋をほとんど知らなくても、バルスは知っとるぜ!」っていう状況がぴったりに思えたので、バルスになりました。
~どうでもいいメモ~
記事のタイトル『現代語訳』ではなく『現代誤訳』のほうがふさわしいかも。